商売人とは皿回し曲芸師の如くである

商社生活も、27年もやっていると、商売人はどうあるべきかとか、つらつらと考えます。

ある日、15年ほど前、テレビで皿回しの曲芸師の芸を見ていたら、
30くらい棒を舞台のはじから端まで立てて並べて、ひとつひとつ皿を廻し、
最終的には全部落とさずに30皿を廻すのをみていましたら、

「あ!これは当に商売と同じだ」と思いました。
まるで客先が30社ある営業マンと同じです。

皿はお客様です。
大きい皿もあれば、中心が安定しない皿もあり、小さい皿もあれば、廻したての皿、ずっと廻っている皿イロイロです。

商売には大抵、「安定客先」「大口客先」「小口客先」「スポット客先」「新規開拓客先」と色々です。
その全てがどれも重要なお客様ですが、しばしば大口客先とか、安定客先ばかりを大事にして、新規、小口、スポットをないがしろにする傾向が特に大手商社の営業マンには見受けられます。

三井物産時代でも、大口や安定商権を大事にし、積極的に新規のお客様に出向かない営業マンもいました。
大口は出世に関係したり、安定商権先は自分を大事にしてくれますが、
新規客先は時に、「罵声を浴びせられたり」「無視されたり」します。

でもそれをしないと(つまりコンタクトしつづけないと)
その客先も将来、大口客先になるかもしれないのに、自らそのチャンスを捨てることとなります。

皿(客先)が30あると、一日1社訪問したとしても1ヶ月かかります。
電話も5~10社毎日しても、話す機会は客先担当と4、5日に一度です。
もしほっぽらかしたら、2ヶ月電話しない可能性あります。

人間の心は「生き物」です。変化します。無常です。

昨日の客先の心は今日違います。

皿は「定期的に」廻さなければ、曲芸師は皿を落としてしまいます。
営業マンは客先を失います。新規を逃します。
迅速さ(皿を廻す勢い)、、periodical contact(定期的に廻すこと)、が客商売には必要です。
新規客先ほど頻繁に訪問し、皿を安定させなければならないと思います。

2007年8月1日

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