経済成長の本質

日本経済は停滞、中国はGNPで日本を今年追い抜くことが確実視されていますが、経済とは、つまるところ、個々人の経済活動の総和ですから、日本人個々人の生活が、経済成長に直結するわけです。

ですから、今後の日本の経済成長は、日本人個々人の「生活」に、
結局は、その本質を求められるわけです。

日本人が今後、人口が増加すれば別ですが、1億2000万人として一定であれば、
個々人の生活の質を、高める以外に、道はないのですが、「生活の質」とは何でしょうか?

人間は生きるためには、衣食住が最低満たされなければならないので、
食べるため、着るため、雨露をしのぐため、人間は必死で働きます。

古代から明治維新までは、衣食住すら満たされることが、やっとであったため、
経済成長などという、概念以前の問題で、明け暮れたわけです。

産業革命・技術革新とは、言い換えれば、
「人間が衣食住・労働のため以外の時間を使えるようになったこと」です。

そこに経済成長の本質があります。

江戸時代までは、農民・商人は、朝起きて、粗末な朝食、労働、お茶休み、労働、昼食(ない場合もある)、労働、夕食で、明りもないのでそのまま就寝の生活でした。

人間の消費は、従い、「食」がほとんどで、衣類は合計で5~10枚、長屋に住んで、6畳一間、家族が寄り添って生きるわけで、ほとんど、成長、つまり「余計な時間」はありません。

さて、現代人は、どのような生活をしているかというと、
朝起きて、朝食、会社まで移動手段(電車・バス・自家用車)、途中読書ないしi podで音楽、労働(遠隔地の客先が多いので電話・パソコン)、昼食は外食、レストラン和洋中の選択、海外出張、飛行機・ホテルの使用、夕食のみならず、バー・飲み屋、コンサート・演劇鑑賞・絵画、休日には、旅行・ドライブ・ゴルフ・テニス・ハイキング・音楽演奏・読書・テレビ・温泉、フィットネスクラブ・動物園などさまざまな施設・手段の利用、快適性の追求、夏はエアコン、冬は暖房・サウナ、衣食住の選択拡大、

すなわち、ファッション産業・ブランドにより洋服を100着購入したり、
レストランで美食を追求したり、居住場所の複数化・別荘の所有したりすること、(つまり無駄の拡大)を行っています。

一日は24時間、古代人も現代人も平等です。

経済成長とは、上記の通り、個々人レヴェルで、
「いかに衣食住以外の時間を素敵に・無駄に過ごせるか」できるかぎりの多様化すること、と言い換えることができます。

現代では、いかに素敵に、無駄な時間を過ごせるかの、
消費刺激に成功した企業や人物が、成功するわけです。

i Padは絶対必要なものではありませんが、皆が素敵に、無駄な時間を楽しく過ごせることに成功し、「経済効果」が、例えば3,000億円あったとしますと、それはある種のInovationです。

ただし24時間は不変なので、必ず、i Padを長く使用する人は、
今まで使っていた「何か別のもの」、の時間を削減しますから、i Padはその何か別のものの、
マイナスの経済効果も、一緒にもたらしています。

現代の若者の、24時間の使い方では、通信機器やゲームに偏っているので、
昔の若者にあった、「何か別のもの」の時間を削減しています。

それは車であったり、マージャンであったり、飲み屋であったりします。
車が売れないというマイナスの経済効果と、携帯電話での通信費用・通信時間の増大は、表裏一体であったりします。

石川遼さんの経済効果は、500億円あったら、それは、今までゴルフに興味なかった女性が、ゴルフを始めるとか、ゴルフファッションに新規需要が出るとか、
石川遼さんがCMで宣伝すれば売れるとか、さまざまな「素敵な時間」を、
新規に、石川遼さんが提供して、新たな需要ニーズを創出しているからです。

でも、同様に、今までの「何か別のもの」は捨てられています。

もう結論は出たと思います。

1日24時間を、より速く、より遠くへ、より多様に、より無駄に、過ごすことが、経済が成長する秘訣でしょう。

日本人は(米国人も含めて)、もう24時間を、これ以上多様に過ごすことの必要性に、疲れているかも知れませんし、新たな刺激の余地が、少なくなっているとも言えます。

それに比べ、中国人やインド人は、まだまだ「衣食住」から脱却している人が少ないので、
経済成長、すなわち、「24時間を多様に過ごすこと」が可能な余地が一杯あるのです。

人口が13億人の中国が、1億2000万の日本とGDPが同じであることが、
そもそも、個々人の経済生活の総和が、GDPであることを考えれば、異常なわけです。

ちなみに輸出行為は、「他国の経済行為に奉仕すること」ですから、
輸出行為は、その国においては、労働時間の増大の見返りに、貨幣収入の増加をもたらしますが、
経済成長の本質である、「自国民の経済活動の多様化」には貢献しません。
「観光産業」も、他国民への開放の本質は、他国民の経済活動・満足へのサービスの提供ですので、輸出と意味は同じです。

つまり他国の経済活動に、依存しているわけです。
輸入・海外旅行は、当然ながらその逆ですので、
自国民の経済活動ニーズがあるからこその、輸入・海外旅行(財の消費)なわけです。

2010年7月16日、7月26日加筆

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