本音の経済学

民主党政権下、経済もますます悪化し、究極の選択もせず、無策の日本経済は、
ますますの地盤沈下で、商売や日本経済へのコメントが思い浮かばなかったので、筆をとることから遠ざかっておりました。

昨年末、民主党の大敗、自民党の大勝で、安倍政権が誕生し、
所謂いわゆる「アベノミックス」への期待感から、円安・株高を示しております。

20年以上に及ぶデフレからの脱却のため、アベノミックスで、

①通貨供給量の増大                           ②金融の大幅緩和                            ③公共事業の拡大

によりインフレを起こし、
年率2%のインフレターゲットを設定して、経済の活性化を図ろうということです。

ここでは、アベノミックスの本音の経済学、インフレの真理を述べてみたいと思います。
国家は貨幣を発行しますが、その国家に信用がなければ、貨幣はただの紙っぺらですので、無価値と言えます。これでは国家は成り立ちませんから、本来は、自らの通貨に対しては、全力で信用を勝ち取るような政策が、普通の政策と言えます。

言いかえれば、自らの国民・海外投資家に対して、日本円を信用してもらう、愛してもらう、ポートフォリオで選んでもらう政策を、講ずる必要があるわけです。

しかしながら、その政策を取ると、
①日本国家への信用による円高、
②国民のポートフォリオが日本円保持・預金に向かい、資産のなかで大半を円貨幣資産を保有し、其の他の資産への分散をしない結果、デフレが起こる、
というジレンマが現在の日本と言えます。

アベノミックスはその逆、究極を言えば、国家信用を意図的に低下させる試み、と言えるでしょう。

インフレは、一言でいえば、「その貨幣への執着の消滅、失望感の発露」と言えます。
日本円への執着は、日本円への信頼・信用、、貯蓄への執着、金融財産への信頼、がある限り、日本円を手放しませんので、物より円、不動産より円、ドルより円ですのでインフレは起きません。

インフレが起こるのは、日本円への失望の気持ちから、日本円よりゴールド、日本円よりドル、日本円より不動産、日本円より自動車、という、
人々の気持ちから、必然として日本円を手放して、
物への需要増大、ポートフォリオでの日本円資産から、動産・不動産への転化、
他の通貨への転化、という変化によりインフレになります。

アベノミックスの本音の経済学は、従い、
「どうやったら日本円への執着を解放させるか」ということですので、
①国債を極端に発行し、日本国は「返済不能」であると外国人に思わせ、日本円を売らせる。
②貯蓄は意味をなさないと、思わせるまでに金利をゼロにする。
③このままでは日本円は紙切れになる、と思わせ、人々に、物やゴールドや不動産で、財産を保全させるということで、
狙いは、「日本円への信用をどうやったら失墜させられるか」という経済政策です。

ある意味、180度の意識転換を日本国民・世界の投資家に求める、
大胆な試みとも言えるでしょう。

これは、大恐慌から戦争に突入するときの、ドイツのハイパーインフレ以来の試みですが、ハイパーインフレの危険性を、はらみながらの荒療治です。

ひとたび信用の失墜が起これば、2%のインフレなどでは到底すみません。
30~40%のインフレになるので、非常に高度な調整を必要としますが、
歴史上、その調整を、ソフトランディングさせた国家はありませんので、
今後の動向が注目されます。

2013年1月16日、1月18日加筆

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