拝金主義と 資本主義、商社の役割

昨今の考えさせられる経済事件としては、上海福喜食品での期限切れ肉混入事件があります。

人間にとって、本当に大事な「安全」「生命」「品質」を軽視・無視して、
金のため・儲けのために、手段を選ばない拝金主義と言えます。

過去何回も、人間の欲は無限であり、資本主義の弱点もそこにあると言ってきましたが、一向に、そのような経済事件がなくなりません。

勿論、そのような企業、工場は悪いわけですが、では「なぜそうなったのか?」と考えますと、
一概に、供給側だけが、「ゆがんだ欲」を持って、需要側である企業が、
「善良な人間」であったとは、必ずしも言えないかも知れません。

資本主義は純粋競争原理の下、企業の栄枯盛衰が避けられません。
誰でも、死ぬことは嫌です。一番強烈な欲は、「生存本能」による生存欲です。

これは法人でも同じでしょう。

倒産や解雇、赤字転落は真っ先に避けたい「生存欲」が働きます。
マクドナルドは、100円マック等々で、
外食産業として、確固たる地位を得続けたい欲がありますので、
供給先には、ギリギリのコストで供給するよう求めます。

しかし、食品企業として、最大のダメージは、食品に毒やウィルスや大腸菌が混入し、消費者の生命を脅かすような、食品提供をしてしまうことです。

ですので、当然ながら、供給先には「コストは最安値、しかし品質は最高品質」を要求しますが、それは、自己矛盾であることを、承知しながら要求するわけです。

品質保全のためには、供給先の製造工程を指導し、管理し、査察するのですが、
社員を常駐したり、LOTを全数検査したりすれば、「コスト最安値」の理念は達成できません。

で、しかたなく、コスト最安値で供給する先を「信頼」するわけですが、
今回の事件は、それが裏切られた形になったわけです。

強烈なコストダウン要求をされる企業が、それでも生き延びようとする場合、
「究極な局面」では、企業生存本能が、品質モラルより勝る、ということまであり得る、と物語ったわけです。

弊社は食品ではありませんが、非鉄を通じて、中国の供給者の生産物を、
日本の需要家様に供給しております。

需要家様に於かれては、「品質は当然満たされた前提で」コスト追求をされているわけですが、そのご要求をしっかりと受け止め、しかしながら、中国工場の生存本能を脅かす、限界の「直前」で、その状況を察知して、需要家さまにフィードバックし、品質管理へのご信頼を得る作業が、弊社の商社としての、最大の役割と理解して、日本と中国の架け橋として、今後も役割を果たす使命を、
今回の食品事件を通して、感じましたので、久しぶりに雑感を書かせていただきました。

2014年7月24日

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