金密輸摘発に思う
本日の日本経済新聞経済面に、「金密輸額の5倍、罰金に・・」というコラム記事があります。
密輸といえばつい10~20年前は、「非合法」「麻薬・覚せい剤」「武器・拳銃」「暴力団」というものをイメージしたのですが、最近は、金塊がその代名詞になっております。
もちろん、日本国の法律(外為法、関税法)を順守し、合法的な輸出入をすることが、日本国民として当然の義務であるわけですが、
そもそもなぜ、金塊の密輸が日本向けだけ行われているか???という事の本質を考えると、日本国の法律自身にも問題がある、と思うに至りました。
この金塊密輸は、麻薬・武器とは異なり、当該貨物自体には非合法性はありません。
金塊は世界中の価値基準の根本であり、つい最近までは「金本位制」が世界の価値の基準でした。
つまりは、金塊とは、「いかなる政府にも属さない世界共通の通貨」なわけです。
米国・欧州を始め、世界中の中央銀行がその「究極の通貨性」を認めるからこそ、スイスや米国や英国の地下金庫には数百トン、数千トンの金塊が「最後の通貨担保」として眠っています。
そうです!!世界は、金塊を通貨として認識しています。
だからこそ、その通貨としての金塊には「消費税」を課してはいないのです。
そして、唯一日本国だけが、金塊の通貨性を否定し、
「金塊は商品である=従い消費税を課す」としている、誠におかしな国であるわけです。
そのおかしな国をターゲットにして、消費税8%を狙って、密輸が行われているわけです。
もちろん、「密輸=関税法違反」はいけないことなのですが、通貨に消費税を課すという、おかしなシステムがある限り、この密輸はなくならないでしょう。
麻薬や武器は、世界中が悪と認める反社会的物質です。
でも、金塊はこれからも、世界中の「信用の最終担保」として、善・・なる物質です。
善なる通貨です。
これが金塊密輸の本質であることを考えれば、日本の法制度がグローバルスタンダードに合わせて、 変化することが望まれます。
通貨には「消費商品」的性質は全くありません。
通貨は、消費商品の流通を円滑化する、単なる媒体物なのですから・・・
2017年11月29日