仏教の悟りとは 副交感神経の活性化の完成であった!!
お釈迦様の悟りの話を始める前に、交感神経と副交感神経の定義(皆さん百も承知でしょうが)を致します。
自律神経には交感神経と副交感神経があり、交感神経は、心と体を「がんばるモード」にシフトする神経で、別名戦闘モード神経と呼びます。
交感神経は、仕事で緊張したときや、身の危険を感じた時、闘争するときなど、
生命の危機が生じたときなどの’’ここぞ’’というときに働きます。
交感神経が働くと、心拍数や血圧をあげ、呼吸を速くし、血管を収縮させて、心と体を戦闘態勢にします。
一方の副交感神経は、心と体を「リラックスモード」にシフトする神経です。
副交感神経は、ゆっくり休めるように、心拍数や血圧をさげ、呼吸をゆったりさせ、血管を拡張させ、心と体を落ち着かせようと働くわけです。
話を仏教の悟りに戻します。
お釈迦様は若い時、「生老病死」の悩みを解決すべく、出家を決意し、修行をするのですが、苦行では悟りを得ることができず、菩提樹の下での瞑想坐禅にて悟りを啓きました。
人類は古代より、死への恐れ、疫病への恐れ不安、戦争での緊張、老化への嘆き等々、常に恐怖・不安・に苛まれていました。
つまり、交感神経が働く瞬間を何とか忘れる・逃れる方法はないか・・・
ということを強く願ったわけです。
お釈迦様は、その生老病死の不安・恐れ(つまりは交感神経)を解決するために、最初はあらゆる苦行をしましたが、それは換言すれば「交感神経をさらに鍛える」という方向性と言えましょう。
苦行を重ねた結果、確かに交感神経は鍛えられ、
ちょっとやそっとの困難は乗り越えられましたが・・・
お釈迦様も「安寧」は得られませんでした。
で・・・ 最終的な悟りは、菩提樹の下での坐禅瞑想にて得られました。
換言すれば、副交感神経の完全育成の成功です。
現代医学(自律神経学)では、副交感神経は、人体では2か所が大きく影響するそうです。
一つ目は、仙骨神経叢。つまりは、丹田から仙骨にかけてです。
坐禅の結跏趺坐は丹田と仙骨を刺激します。
もう一つは 頸神経叢です。首の裏側から肩にかけてです。
坐禅では、頭と首と脊椎と腰椎が、一直線になることを要求しますが、
それは頸神経叢の副交感神経を、最大限に育てるということになります。
その重要な2か所を意識しながら、坐禅にては「数息観」を含めた、
腹式呼吸による呼吸のコントロールを要求します。
つまりは、副交感神経を最大限働かすために、自律神経+体性神経が両方機能する、唯一の行為「呼吸」を、意図的にゆっくりすることにより、副交感神経を活性化するわけです。
お釈迦様の悟りは、まさに、苦行(交感神経を鍛える)でなく、
坐禅(副交感神経を活性化する)により、達せられたわけです。
2017年10月5日