商品相場と資本主義
最近の経済情勢は、資源高騰による、経済停滞が顕著化して、アダムスミスの、
所謂、「みえざる手」が働いて、需給の急速な修正局面を迎えています。
これだけ資源が高騰すると、『富と富の分配』でも書きましたが、
十分な購買力を備えている富裕層以外は、消費を削減せざるを得ないのは、自明の理であり、
富裕層は、人口的にも、世界の1割がせいぜいであるので、旅行、自動車、
贅沢品(家電製品、高級衣料)などは真っ先に影響を受けるわけです。
自動車販売が、10%も20%も落ち込めば、それに関連した、石油製品、鉄、非鉄金属、ガソリン、レジャー産業などが、軒並み影響を受けます。
今年初めからの、異常相場がまるで、「なかったかのように」鉄スクラップ、非鉄原料など、先行指標は8月に急落し、富士山以上の急曲線を描いて、もとの価格まで戻っております。
やはり、「異常相場」は「異常」だったわけです。
では今後はどうであるか。
中国やインドが急成長したのは、その構造的な「安さ」、すなわち、原料の安さ、労働力の安さ、物価自体の安さに依存していたのですが、原料高騰は、その全てを打ち砕こうとしています。
その証拠が、中国株が50%近く下落し、インド株も同様であることで、実証されています。
(日本はせいぜい10~20%の下落に対し)、ユニクロは、中国一辺倒から、「脱中国」計画を、先日ぶち上げましたが、東欧、ベトナム、タイ、マレーシア、トルコなど周辺諸国への分散が、これからドンドン進むことでしょう。
その先にあるのは、やはり、「平準化」です。
一つの労働価値・サービスに対して、高いところから安いところへ向かうのも、
いずれ限界となるわけです。
「地域的格差は縮む―自国内格差は拡大する」という力学は、常に世界中で作用するので、最終的には、その職種自体の「労働価値」が、いったいどれくらいあるのかに帰結するでしょう。
マグネシウムも、究極は、マグネシウム自体の「本来価値」に集約され、
シリコンも同様、ガソリンも、また同様でしょう。
その「最終価値」は誰にも定義できませんが・・・・
2008年9月4日