目的と手段の混同について=仕事をするということ
人生の目的は、人それぞれ異なり、ある人は自己実現、ある人は幸福の追及、
ある人は自分の存在の確認等々、色々であり、どれが正しいとか、
間違っているとか議論するのはなじまない性質で、
結局のところ、
「人生の目的には正解がない」というのが、真実かも知れません。
ここではちょっと狭義に絞り、仕事をするということ、
特に商社の会社生活での目的は何か?とのお話から始めたいと思います。
それは、下記と言えましょう。
「お客様と商売をすること。そのことで会社が利潤を上げ、従業員の生活が充実・安定すること」です。
大多数の社会人は仕事をしていますが、「何のために仕事をしているか」を自問自答する場合、「仕事の目的=人生の目的・意義と同義」と考えてしまい、上記のように人生の目的は、正解がないわけですので、焦点がずれてしまいます。
ここではシンプルに、「経済活動の目的」という意味として、理解していただき、日々の仕事にて、多くの人に見られる「勘違い」に関し、語りたいと思います。
しばしば人は、忙しい営業を日々していると、手段が目的化している仕事ぶりに陥ってしまいます。
商社の仕事の日常行為は、メールを見て、発信したりする。
客先に電話をする、客先と面談をする、出張をする、海外出張をする(客先のアテンドも含め)、接待飲み会、接待ゴルフ、市場動向調査、新規客先開拓、サプライアー開拓、事務職員との打ち合わせ、上司への報告、成約、契約履行、資金回収・・といったところでしょうか?
なにやら、色々忙しく「仕事」をしているように錯覚しますが・・・
個々の行為をよ~~~く、分析してみますと・・・
* 客先と会うことは、手段です・・ 商売をするためのプロセスですね。
* 客先に好かれる・信頼されることは、手段です・・ 円滑に商売するためには必要ですね。
* 電話すること・メールすること、も手段です・・ 成約に向けての意思疎通の手段で、それも、目的である商売するためですね。
* ということになると出張することも、手段にすぎません・・ 商売するために・・
* 報告書をまとめること、備忘録を作成すること、お礼メールを送ること、も手段です・・
最終目的の、「商売をすること」のための情報蓄積行為ですね。
どうでしょうか?
結局営業マンの上記行為(20以上の行為に定義づけされますが)は、
すべて、目的としての「商売するため」の手段、ということになります。
昔、臨済宗中興の祖の白隠禅師が「隻手の音とは???」という公案をだし、
多くの修行僧を悩ませましたが、ある日、それを聞いた商人のおばあさんがこういいました。
「白隠の隻手の音を聞くよりも、両手をたたいて商売をせい!!」と喝を入れました。
それを聞いた白隠は 参ったそうです。
例としては極端でしょうが、僕なりの解釈は、悟るために、
ああでもないこうでもないと色々手段を考えますが、
所詮皆、「手段という小さなプロセス」の議論をしているだけで、
悟りという、「本当の目的」には近づいていないわけです。
おばあさんはそれを喝破して、ストレートに「目的」を提示したと思います。
営業マンのみなさん!!
出張アレンジして、出張報告をすることは、「仕事」の一部ですけど、
単なる手段の消化にすぎません。
それで「俺は仕事したのだ!!!」と思わないでください。
単なる一つの小さなプロセスなのですから・・・・
2015年1月28日(弊社社員への訓示を一部引用しました)